漢方療法

 多発性硬化症の西洋医学的治療では、その病態に免疫異常が大きな役割を果たしていると考えらることから、ステロイド剤や免疫抑制療法が中心となっています。特に、急性増悪期にはステロイドパルス療法を行ったり、また最近では、血漿交換療法やインターフェロンの投与も試みられています。

 漢方療法としては、最近、急性増悪期に小柴胡湯」「柴苓湯」「柴胡桂枝湯などの柴胡剤がよく使用されています。柴胡剤の免疫調整作用やステロイドホルモン増強作用が明らかになり、症状の早期改善・再発の予防に有用であることがわかってきたからです。

 特に「小柴胡湯」には、ステロイドホルモン増強作用とその分泌の促進、免疫調整作用(インターフェロン産生促進作用など)、免疫複合体除去作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、があることが知られています。
 これは、小柴胡湯を含む柴胡剤の主薬である「
柴胡」に、生理活性に富むサイコサポニンが多量に含まれているからであり、多発性硬化症などの自己免疫疾患の免疫機能に影響を及ぼし、その病態を改善させる効果が期待できます。

 また、手足のしびれやまひ、下半身あるいは片側上下肢のまひ、運動障害など、血虚の症候が強い場合には、疎経活血湯」や「独活寄生湯など、症状が慢性化してお血の症候がある場合には、「血府逐お湯」などの駆お血剤を処方する必要があります。その他、冷えや疲労感が強いなどの体力消耗状態のときには、補法を中心とした処方をします。これは、中医学では、その病名だけではなく、症状や体格・体質を重視するためです。症状、体格体質に応じた処方を行うことにより、.自覚症状が改善が期待できます。

柴胡

紫胡は、“辛涼解表薬”。麻黄と同じく解熱作用がありますが、柴胡は逆に体を冷やして解熱します。
そして、“肝気鬱結(かんきうっけつ)”の要薬でもあります。
 “
肝気鬱結”とは、特に精神的な原因で起こる、自律神経系の緊張や異常亢進・ゆううつ感・怒りやすい・胸部や脇部のはった痛みなどの症状をいいます。
ですから、柴胡は自律神経失調症によく処方される『柴胡加竜骨牡蛎湯』などの多くの方剤に配合されています。

 また、柴胡は『小柴胡湯』の主薬であり、『小柴胡湯』は、風邪・胃炎・気管支喘息・肝炎・腎炎・自律神経失調症など様々な病気の治療に応用されており、漢方処方の中では現在日本で一番多く使用されているといわれています。ただし、誤った使い方を続けていたために間質性肺炎を起こした症例が報告されています。漢方薬は医師や薬剤師によく相談のうえ、自分に合ったものを服用することが肝要です。

ご注意
ここに掲載されている情報は一般医学情報であり、使用や処方を薦めるものではありません。
また、患者により効果や症状の改善には個人差があります。
一般医学情報として取り扱いください。